経営者がしてはならぬ3つのパーティー

先日、とある企業の新オフィスお披露目パーティーに行ってきました。
実は、企業の新オフィスお披露目パーティーに参加したのは、今回が初めて。

お誘いの連絡をいただいた時は、積極的に行きたいとは思っていませんでした。
それでも行くことを決めたのは、“お世話になっている方々に会えるかも”と思ったから。

5年前からお世話になっているAさんやBさん。
今年になってから関わりが増えたCさんやDさんなど。

コロナになって会えなくなったこと、
そもそもコロナで会うことすら叶わなかった方々に、
ご挨拶と普段の御礼をしたかったからです。

パーティーには100人近い人が来ていました。
軽食やドリンク、アルコールの種類も多く。
会費は取らず、すべて企業が負担してくださったようです。

結果、4人のうち3人とは直接お目にかかることができました。
ついでに、トップの方ともご挨拶させていただくこともできました。
非常に気さくな方で、人脈が広いのもうなずける、私にとってもいい出会いでした。

初めてお会いしたのでお伝えすることは差し控えましたが、
やはり“新オフィスお披露目パーティー”は、
僕にとってはあまり感心するものではなかったように思います。

今回のパーティーに参加し、あらためて師に教わった『経営者がしてはならない3つのこと』を思い起こしました。
親しくしている経営者の方々には酒席などで言う程度ですので、
公の場でお話したことはほとんどありませんが、その3つとは、
『新オフィスお披露目パーティー』
『出版記念パーティー』
『勲章受章パーティー』
です。

新オフィスへの移転。
会社の成長に伴う必須要件ですから、実におめでたいことです。
トップの出版。
ビジネスノウハウの公表であれトップの回顧録であれ、多くの人に役に立つ情報発信は大事な事です。
勲章の受章。
国からその功績が認められたのですから、受けるべきでしょう。

ただ、私が“感心しない”と思うのは、パーティーを催すこと。
これは、単なる自慢に過ぎません。

「創業して30年を超えるトップであっても、
昨日入社した新入社員であっても、
“言い訳と自慢”はするべきはない。
人としての人間性が問われるよ」
これは僕が新人の時に師から教わったことです。

人から「おめでとう」や「すばらしい」と言われること。
評価は他人がするものですから、受け入れて然るべき。
しかし、自らこれをひけらかすのはどうも感心しません。
“自慢”は、自らを蔑む行為に他なりません。

先の新オフィスお披露目パーティー。
もし、トップと私が懇意にしている間柄で、
“お披露目パーティーを企画しているんだけど”、聞かされたならば、
即刻「辞めるべきです」と申し上げたでしょう。

人は他人に自慢をしても、何一ついいことはありません。
自慢に取られるような行為は、なるべく慎むべきです。

人として常に持つべきは、謙虚さ。
謙虚な人は人から好かれ、応援され、いざという時に助けてくれるものです。

私も常に心がけていますが(なかなか難しいですが)、
なるべく“自慢”しないよう、心掛けるといいと思います。

とはいえ、意識してもなかなか難しいと思いますので「そんなことをすると、自慢していると思われるよ」と、助言をしてくれる仲間や信頼できる幹部に囲まれているような環境を作っておくといいと思います。

ただ、そんな私でも、“行ってよかったな”と思えるパーティーもあります。
それが、“周年記念パーティー”。
10周年、20周年、30周年など、会社の創業から区切りの年に行うパーティー。
創業からお世話になっている方々、今取引している方々をお招きして謝意を伝えるパーティー。
主賓の方の長い長い挨拶には辟易しますが、主催したトップの感謝の言葉の数々には感動します。

昨年の春にも、お付き合いのある企業の周年記念パーティーに参加しました。
“ぜひお越しください”と招待状をいただいたので、大きく丸を書いて投函しました。

招待状に描かれた場所に着くと、思いのほか大きなイベントスペース。
受付では、少ないながらも気持ちを包んでお渡しました。
(受付の社員はビックリしていたようですが……)
開始30分前にも拘わらず、すでに100人以上が来ていました。

会場内に入ると、「こちらにどうぞ」と案内をされ。
ふと顔を見ると、3月に行った新人研修に参加していたメンバーでした。
先輩、幹部は来場者対応に大忙し。
取引先との面識もあまりない新入社員は、誘導係を任されたようです。

会もそろそろお開きになる頃、誘導する相手もいない新入社員に声をかけてみました。
(その年入社の4人の新入社員は、暇そうに時間を持て余しているようでした)

「知ってる人が誰もいないからつまんないでしょ」
「いえ、あの、スイマセンっ」
暇そうにしていたのを見つかって、バツが悪そうでしたが、
“確かに暇だよね”と、話し相手がいない僕に付き合ってもらうことにしました。

しかし、彼らから出てきたのは、意外な言葉でした。
「こんなに多くの方が、会社に関わってくださってるんですね」
「お客様や取引先のおかげで、なんにもできない僕らにも給料が出るんですよね」
確かに、新入社員研修でもそれに近いことは言いました。
“言って理解できる話じゃないよな”、と思いながら毎年話していることでもあります。

しかし、この周年記念パーティーを目の当たりにして、
知識としてアタマの片隅にあったものが、
ストンと腹に落ちたようでした。

“あぁ、こういうのって、新人や若い子にとってもいいことなんだな”
そんなことを感じる出来事でした。

後日談ですが……。
周年記念パーティーにご祝儀を包んで渡したのは、
経営者や幹部の立場の人がほとんどだったようです。
企業の社員、いわゆるサラリーマンは皆無だったとか。

僕は、たとえ招待状に“手ぶらでお越しください”と書かれていても、
決して手ぶらでは行きません。
そういうものだと思っているからです。

経営者とサラリーマンは、やはり人種が違うのでしょうか?
非常識? いや、無常識。
単に誰かが教えてないだけだと思います。
僕も、折に触れて伝えていこうと思います。

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