付き合うべき人の簡単な見分け方

企業トップは、日々たくさんの人と会わなければなりません。
銀行、取引先、ユーザーやクライアント。
商談、会食、情報収集。
長年付き合っている気の置けない方々もいれば、
ちょっと苦手な方々もいると思います。
やむを得ない事情で付き合わなければならないこともありますが、
正直(できることなら)、変な人との付き合いは避けたいですよね。

僕は人見知りなので、なるべく人と会いたくないと思うタイプです。
でも(当たり前ですが)、商売上、人と会うことが必須なので……。
正直(できることなら)、変な人との付き合いは避けたいです……。

変な人、というと語弊がありますね。
良い人、付き合うべき人と付き合っていく。
これがいいと思います。

日々たくさんの人と会わなければならない人向けに、
付き合うべき人の簡単な見分け方をまとめてみました。

1.人に対して差別しない人
マウンティングする人。レッテルを貼る人。
自分が努力することなく、相対的に優位に立ちたいと過剰に思う人がいます。
この手のタイプは、人の足を引っ張ることが多いようです。気をつけたいですね。

2.年齢を重ねるとともに、何でも受け入れる人
人は、年齢を重ねていくにつれ既成概念や固定観念、経験に縛られがちです。
一方、年齢を重ねても多様な考え方をどんどん受け入れる人もいます。
いわゆる“すなお”な方ですね。
こういう方からは学びも多いものです。

3.労を惜しまない人
オンラインミーティングが常態化してきました。
「じゃ、まずはオンラインで」。そういう会話も常態化しているように思います。

一方、わざわざ訪ねて来られる方もいらっしゃいます。
「いいですよ。お邪魔します。ご多用のところを恐れ入ります」
こうした、会うことに重きを置く方は、他のことにも労を惜しまないようです。
手土産を持参される方、面会の後にメールや手紙でお礼を送られる方。

効率が重視される世の中で、こうした方からも学びが多いものです。

4.おカネやモノよりも、人を大事にする人
「企業資産の中では、人がもっとも大事ですよね」
こうおっしゃる方は少なくありません。
しかし、本当に大事にしているかどうかはなかなか分かりません。
とはいえ、普段のふとした会話で垣間見ることもできます。

以前、とある企業を訪問した時のことです。
会議室に案内され、代表の方との名刺交換を済ませた頃、
秘書の方がお茶を持ってきてくださいました。
すると、何かつまづき、秘書の方が転んでしまいました。
お茶はカーペットに転がり、秘書の方は慌てて立ち上がりました。
すると代表の方は、
「何をやっているんだ! お客様にお茶がかかってしまったではないか!」
と大声で叫びました。
確かに、秘書の方が転んだはずみで私にも少しお茶がかかりましたが、
特に気になりませんでした。
(もちろん、“全然大丈夫ですよ”とお伝えしました)

「申し訳ありません。すぐに新しいのを持ってこさせますので……」
代表の方は続けてこう言いました。
秘書の方は、いったん部屋を出て、しばらくして新しいお茶を持ってきました。
私と代表の前にお茶を置くと、さきほど転がってしまったお茶の湯呑を拾い上げ、
飛び散ったお茶を拭いていました。
「いや申し訳ありません。ホントに申し訳ありません」
代表は何度も私に謝ってくださいました。

いろいろご相談やご要望をおうかがいしたのですが、多忙を理由にお断りしました。
代表の方には申し訳ありませんが、いただいたご相談やご要望については、
実はその時、ほとんど聞いていなかったんです。
なぜなら、秘書の方に対する代表の接し方が僕には受け入れ難かったからです。

僕の中では、秘書の方が転んだ際に言うべき言葉はひとつしかありません。
「お怪我はありませんでしたか?」
ひとつしか考えられない言葉を、代表の方はおっしゃいませんでした。

代表の方は「何をやっているんだ!」と秘書の方を責めていました。
人を大事にする会社は、言うべき言葉はひとつしかありません。
「大丈夫? ケガはなかった?」
この言葉が言えない企業は、人よりも大事にしているものがあるのでしょう。
売上、社員数、伸長率。

伸びている会社、伸び悩んでいる会社。
いろいろな会社がありますが、
僕の中では「ケガはなかった?」。
これを言える代表や社員が多い企業に関しては、
ご相談内容、ご依頼内容が何であれ、できる限りお引き受けするようにしています。

5.人相が良く、明るく温かい人
先の企業訪問で思い出したことがありました。

企業のオフィスにはいろいろなタイプがありますね。
執務室外に受付(主に電話)を置いて担当者を呼び出すタイプのオフィス。
執務室内に受付スペースがあり、近くの席の方が対応されるタイプのオフィス。
その他いろいろありますが、執務室内にお邪魔するタイプのオフィスでは、
オフィス内で業務をされている社員の方が、訪問者に対して一斉にお立ちになられて
ごあいさついただくような企業さんもあります。

僕のような人見知りは、どうもこういうお出迎えには慣れないので、
何度もアタマを下げながらごあいさつをしてしまいます。

ただ、何度もこういうタイプのオフィスにお邪魔していると、
気がつくことがあります。

執務室で業務をされているみなさん(つまり一斉にお立ちになられるみなさん)の顔が一様に険しいことが多いのです。
険しい顔をされていなかったとしいても、目が笑っていない。
そんな会社は少なくありません。

一方で、一斉にお立ちになってお出迎えをいただくような会社ではないのですが、
受付される方、会議室までの道すがらすれ違う方々、
そしてご案内いただいた会議室にお茶を運んでくださる方、
みなさんニコニコされている会社もあります。
釣られて私もニコニコしてしまのですが、
社員の皆さんが明るく、温かい人が多い会社は気持ちがいいものです。
ちなみに、こうした会社の社員のみなさんは人相がいいですね。

人相がいい、とはどういうことかと言いますと、
顔が歪んでいないということ。
人は、ストレスや嫌なことが重なると、顔が歪むんだそうです。

その意味では、「世の中でもっとも人相がいいのは赤ちゃんなんだよ」、と
教わったことがあります。
赤ちゃんにはストレスや嫌なことがほとんどない。
機嫌が悪い時もあるでしょうが、機嫌のいい時は、いつもニコニコ。
「ほとんどの赤ちゃんは顔が左右対称なんだよ」と
教わったことがあります。

人は、ストレスは嫌な事があると、顔がゆがんでいくみたいです。
左右対称ではなくなってしまうんだとか。
年をとれば、誰でも線対称じゃなくなっていくみたいですが、
(僕なんかは若いころから顔が歪んでますが)
それでも明るく、温かい人が多い会社はみなさん人相がいいように思います。
(悩み事が解消されると歪みが少なくなっていきますね)

人材開発や組織開発だけでなく売上アップやマーケティングなどのご支援もしますが、
社員のみなさんの人相が良く、
明るく温かい方が多い企業は、
成果が出やすいように感じています。

5.目先のことにもよく気がつくが、長期的視野・視座に立って処理できる人
本当に目先不透明な時代が続いています。
普段から熟考していないと、何をすべきか見えにくい時代ですね。

しかし、普段から多角的な視野で物事を見、考えている人は少なくなく、
意見を求めるとはっきり自己主張されるので、学ぶことが多いものです。

熟考していなくとも、自然と動ける人もいます。
感度が高いのか、体に染みついているのかわかりませんが、
気がつくな、気が利くな、という方は少なくありません。

私にはなかなかできないことなので、感心するとともに尊敬してしまいます。
さらに、長期的な視野・視座に立ってモノを見ている人にもお目にかかることがあります。
尊敬を通り越して、畏敬の念さえ抱かざるを得ません。

広い意味での未来予測というよりも、自分自身の未来予見でしょうか。
「これからこうなるのかな?(未来予測)」だけではなく、
「これからこうなる? だったらこうしよう(未来予見)」
マクロな視点を踏まえて、今を見ることができる人。

「だったらこうしよう。今からこうしよう」
そんなスタンスがいいですね。

今回はずいぶんと長文になってしまいました。
最後にもう一度まとめてみます。
1.人に対して差別しない人
2.年齢を重ねるとともに、何でも受け入れる人
3.労を惜しまない人
4.おカネやモノよりも、人を大事にする人
5.人相が良く、明るく温かい人

僕もこうなれるよう、日々努力しているつもりですが、
こんな方が増えれば、いい会社が増えていくと思います。

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