タイプ別インプット・アウトプット法

「せっかくマニュアルがあるのに、全然身についてないんだよね……」
「俺のやってるとこ実際に見せてるのに、理解してないみたいなんだよね……」
「いま流行りの動画で作ってみたんだけど、ちゃんとわかってくれてるのかな……」

新人だけでなく、社員の育成に悩んでる会社から、こんな話を聞くことがあります。

・詳細なマニュアルを整備しているのに、社員の習得レベルに差がある
・メンター・ブラザーによる体系的なOJT制度があるのに、社員の習得レベルに差がある
・文書マニュアルから動画マニュアルにバージョンアップしたのに、社員の習得レベルに差がある

“どうしたらいいもんかな? わかる子はわかる。できる子はできるんだけど……”

こういう相談は毎年あります。
新人が入社して間もない春先よりも、半年ぐらい過ぎた秋ごろに多いようです。
新人だけでなく、若手や中堅社員に対する相談も少なくありません。

新人全員に対して、社員全員に対して画一的なマニュアルや制度を確立しても、実は全員にとって“良い”ものではないことが多い。
一部の人にとっては“良い”ものであっても、一部の人にとっては“良いとは言いづらい”ものであることが多い。
そんな事象は、多くの企業にみられるようです。

結論から言ってしまえば、タイプの違いによります。
それが、『右脳型』と『左脳型』。

みなさんも、右脳、左脳という言葉は聞いたことがあると思います。
脳における機能の違いですね。
右脳はイメージ脳とも言われ、左脳は言語脳とも言われます。

情報のインプットについても、この右脳型と左脳型とに分かれます。
インプットが右脳型の人は、イメージで覚えることが得意。
“見て覚える”のが得意なんです。
インプットが左脳型の人は、言語で覚えることが得意。
“読んで覚える”のが得意なんです。

インプットが右脳型の人に対して、「これ、よく読んでしっかり理解してね」と指示したとします。
右脳型の人は一生懸命読んで理解しようとしますが、ずいぶんと時間がかかってしまいます。
人によっては、“なかなか頭に入らなくて……”と思う人もいるのです。

インプットが左脳型の人に対して、「今からやること、しっかり見て理解してね」と指示したとします。
左脳型の人は一生懸命見て理解しようとしますが、一回見ただけでは理解できないことも多いのです。
人によっては、“何回か見せてもらわないと……”と思う人もいるのです。

新人も若手も、自分の成長のために仕事を早く覚えたいと思っています。
先輩も上司も、後輩の成長のために仕事を早く覚えさせたいと思っています。
それぞれが成長したい、成長させたいと思っているのになかなか上手くいかない理由のひとつが、“タイプに合った指導・育成ができてない”ということがあるのです。

インプットが右脳型タイプには、画やイメージで伝えるようにするのが効果的です。
先輩や上司が実際にやってみせるのもいいと思います
インプットが左脳型タイプには、言葉や文章で伝えるようにするのが効果的です。
文章で書かれたマニュアルを一人で読ませるのもいいと思います。

ちなみに、教育や育成は習得が目的ではないですね。
習得したことが理解でき、実践でき、成果につながるために行うことが目的ですね。
その意味では、理解できたか、実践できるか、確認する必要がありますね。
実はここでまた、タイプ別に対応することが求められます。

インプットは左脳型だけれど、アウトプットが右脳型の人がいます。
入力は言語情報がすんなり入ってくるけれど、言語によるアウトプットは苦手です。
「どれだけ理解できたか、レポート書いてくれる?」
こういう指示はいけません。アウトプットが右脳型の人には苦痛でしかありません。

インプットは右脳型だけれど、アウトプットが左脳型の人がいます。
入力はイメージ情報がすんなり入ってくるけれど、イメージによるアウトプットは苦手です。
「どう理解したか、イメージで見せてくれる?」
こういう指示はいけません。アウトプットが左脳型の人には苦痛でしかありません。

・インプットもアウトプットも右脳型タイプ
・インプットもアウトプットも左脳型タイプ
・インプットは右脳型タイプ、アウトプットは左脳型タイプ
・インプットは左脳型タイプ、アウトプットは右脳型タイプ

人それぞれにタイプがあります。
ちなみに僕は、インプットが右脳型で、アウトプットは左脳型です。

最後にまとめを。
「左脳型、右脳型にタイプがあります」
これが言いたかった訳ではありません。

全社で統一されたマニュアルって、一見すると効率的のように思われます。
効率を考えれば、画一的なマニュアルを作った方がいいと思うかもしれません。
しかし、全社的に統一された、画一的なマニュアルも人によってタイプが違うことから、習得や実践や成果にはバラツキが出てきてしまいます。
本来、教育や育成は個別対応がベスト。
個々に応じた指導や育成は時間がかかりますが、結果的にはもっとも効果を発揮します。

「個別対応なんて面倒だよ」
そういう方、そういう企業もあるでしょう。

そういう方、そういう企業には、4つのタイプ別に対応を変えてみるのはいかがでしょう?

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