ベンチャーにおける幹部の役割

「幹部の仕事って何なんですかね? 役割でもいいんですけど……」
「他の会社って、どういう基準で幹部を選んでるんですか?」
「幹部がちゃんと機能してる会社ってあります?」

気の置けない経営者仲間と飲んでいる時。
紹介でご縁をいただいた創業者と半年ぐらいたって会食している時。
数年ぶりに旧知の経営者からご連絡をいただいた時。

こんな話が出てくることがあります。

ご紹介でお目にかかる経営者の方からは、こんな話はなかなか出てきません。
経営相談にいらっしゃる経営者の方からも、こんな話はなかなか出てきません。

組織に関する話、特に幹部に関する悩み事ですから、
そうそうお話しできる内容じゃないのだと思います。

数名で創業したスタートアップ期を経て、
社員数が20名、30名と増えてくる。
20名ぐらいまでは組織に関しては順調だった。
売上がなかなか上がらないときも、資金繰りに悩んだ時も、
20名ぐらいまではみんなで一緒に頑張ってきた。
でも、30名を超えてくると、
ともすると20名を超えたあたりから、
“なんだかなぁ……”と思うことが増えてきた。
ちょっと“モヤモヤ”することが増えてきた。

そんな感じのようです。

「あいつ(トップの事です)はああ言ってるけど、俺はこう思うんだよね」
若手の前で幹部がそんなことを言っている。
「社長はこう考えてるみたいだけど、本当はこれがいいんだけどね」
古参も含めた社員との飲み会でそんなことを豪語していると聞いた。

“なんだかなぁ……”
じゃないんです。
“モヤモヤ”している場合じゃないんです。

「オマエ(↑なことを言う幹部)、もう明日から来なくていいよ!」

そう言い切っていいと思います。
僕は、そう思います。
だって、トップと違うことを言う幹部は、幹部じゃないですよ。
僕は、そう思います。

「そんなこと言ったら、社員を引き連れて本当に辞めちゃいますよ」
そういう反論もあると思います。
「株だって持ってるし、辞めさせるなんてできませんよ」
そういう事情もあると思います。

でも、ここで折れたら……。
“なんだかなぁ”と放っておいたら……。
“モヤモヤ”しつつも我慢してたら……。

「もっと社員が増えて、もっと組織が大きくなったら、
それこそリスクが高まっていくと思うんですがどう思いますか?」

企業はトップで99%決まります。
乱暴な言い方ですが、会社はトップのモノです。
トップが描いたビジョンがあって、
それを仲間と実現していく。
だから会社をつくったんじゃないんでしょうか?

確かに、今の幹部と一緒に会社を作ったのかもしれません。
今の幹部と一緒にビジョンを作り上げたのかもしれません。
でも、会社を作った時、幹部は幹部を選んだわけでしょ?
「俺が代表になる!」
と言ったわけじゃないですよね?
(中にはそう宣言して代表に就任した方もいるかもしれませんが……)

トップと幹部の差って、幹部と新人ぐらいの差があると思っています。
役割、意思決定、そして何より責任。
トップの存在って、ホント大事で重い。
そこんとこ、意外と分かってない幹部が少なくない。
創業時は肌身で感じていたけど、
時間が経つほどに、だんだん薄れていったのかもしれません。

最近ではCFOとかCOOとかCTOとか。
いわゆるCxOとか経営人材とか言うようですね。

上場すれば明確に役割分担しないといけませんが、
30名程度の組織体であれば、
ベンチャーの組織体であれば、
トップに明確で強力な求心力がないと、
さらなる成長は難しいようです。

トップは点を打つのが仕事。幹部は線を描くのが仕事。
幹部はトップが打った点と点を結び、青写真を描いていくのが役割。
トップは発電所。幹部は変電所。
幹部はトップのアツい想いを、現場のレベルに合わせて伝えるのが役割。

トップの良いことだけしか言わない幹部はダメ。忖度はダメ。
トップの意向と異なる自分の考えを言う幹部はダメ。自我の主張はダメ。

幹部は幹部としての役割があります。
もちろんトップと同じじゃありません。
その辺の温度感をわかって、
トップとも社員とも正しい距離感を取れる幹部じゃないと。

良い組織をつくる。
そのためにどんな幹部を選ぶか?
良い組織を大きくする。
そのためにどう幹部を育てるか?

じっくりゆっくり。
たまには考える時間があってもいいかと思います。

大事なことなので最後にもう一度いいます。
幹部に忖度しない。
幹部は忖度しない。

御社の幹部はいかがですか?

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