他社合同研修の効用

新入社員研修。
自社のみでの実施でしょうか? 
他社合同研修への参加でしょうか?

先輩社員研修。
自社のみでの実施でしょうか? 
他社合同研修への参加でしょうか?

幹部候補者・幹部社員研修。
自社のみでの実施でしょうか? 
他社合同研修への参加でしょうか?

自社のみでの効用は、もちろんあります。
自社独自のコンテンツを提供することは、研修の濃度・粒度が違います。
共有用語や社内業務に慣れさせるためにも、自社コンテンツの充実は必須だと思います。

一方、他社合同研修への参加の効用もあります。
同年代、同世代との関わりは、自分の立ち位置を再認識できるようです。
スキル、経験、考え方。
社内では上位ポジションにいる自負があっても、他社社員と交わることで、自分がまだまだだったと気付くこともしばしばあるようです。

このことは、私自身も実感しています。
ちょっと宣伝めいたお話で恐縮ですが、私は、『中小・ベンチャー企業のための人材開発研究会(通称:ひと研)』という勉強会を共同で主催しています。
勉強会の会員企業は、社員数数名のスタートアップから社員数が間もなく100名に届こうかというベンチャー企業まで規模はさまざまですが、採用している新卒の人数はおおむね5名未満です。
ひと研では、毎月の勉強会だけでなく、研修も行っています。
新入社員研修、新人フォロー研修、先輩社員研修。
中堅社員以上を対象とした幹部候補研修、幹部研修。

もちろんこれらの研修は、合同研修。
毎回、5社~7社程度が参加しています。
1社1名の参加もあれば、1社3名の参加もあります。

合同研修実施のきっかけは、“自社での研修実施は、人事の負担が大きい”という企業の声でした。
もちろん、社員の育成、教育に熱心な企業ばかりですが、社員に実施したい教育や研修をすべて自社で行うことは、なかなか負荷がかかります。
「自社でなければできないことは自社でやるけれど、そうでない部分を平間さんにやってもらえたら」

そんな声は1社だけではなく。
結果、「合同にしましょうかね」ということで研修がスタート。

僕の研修は、“知識”提供よりも“気づき”の提供がメイン。
知識や情報の提供は行いますが、大事なことは行動。
行動を促すためには、“気づき”が欠かせません。
一方的に僕が話をするのではなく、ワークやディスカッションを多用することで、“気づき”を促していきます。

人事の負荷を軽減するために始めた研修ですが、思わぬ副産物がありました。
それが、“他社の社員と交わることで得られる気づき”です。
ワークやディスカッションは、否応なしに参加者と関わることになります。
他者と距離が縮まり、休憩時間には勝手に雑談が始まります。

「ウチの会社ではこういう制度があるんですよ」
「え~、そうなんですか。いいですね。ウチの会社にも提案してみようかな」

こんな感じの会話が聞こえてきます。

「そういう時って、こうした方が良いみたいですよ。私も以前失敗したことがあって……」
「そうなんですか。ってことは私も失敗するかもですね。気を付けます……」

こんな感じの会話も聞こえてきます。

「会社でも同じようなことを伝えているんですけど、他社の方に言っていただくと素直に聞き入れるんですね……」

オブザーバーさんからは、よくこんな話が聞かれます
僕らが主催する合同研修では、各社の人事にオブザーバーとして参加してもらっていますが、ご参加いただく目的は、こうした場面を直接見ていただきたいからです。

講師からだけでなく、参加している他社の参加者からも“気づき”や“学び”が得られる。
こんな副産物があるとは思っていなかったのですが、この副産物に認識するようになってからは、研修の中でのワークやディスカッションだけでなく、シェアタイムと称し、「このワークで自分が気づいたことやメンバーに伝えたいことを話してください(共有してください)」と伝えるようにしています。

他者から得られる“気づき”は、何も受講者からだけではありません。

研修の後には必ず懇親会を実施しています。
懇親会にはオブザーバーさんにも参加していただきます。
何なら、懇親会から企業のトップに参加していただくこともあります。

その理由は、他社のオブザーバーさんからの話や言葉から“気づき”が得られるからです。

「ウチの会社のメンバーにはこう言ってるんだけどね」
「あ、そうなんですね。そう言われると解り易いですね」

「会社でも同じようなことを伝えているんですけど、他社の方に言っていただくと素直に聞き入れるんですね……」

「ウチの会社のトップも同じようなことを伝えているんですけど、他社のトップの方に言っていただくと素直に聞き入れるんですね……」

不思議なものです。

自社でなければできないことは自社でやりながらも、合同研修も上手に活かすことで、教育・育成の効果を高めてみてはいかがでしょうか?

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